ベティ・ブルー/インテグラル : 37.2゜LE
MATIN / L'INTEGRALE
『ベティ・ブルー/インテグラル』は、86年に公開されたフィルムよりも約1時間長い185min.の完全版としてよみがえった映画である。91年のフランスでの公開では再び絶賛の評価を受けている。監督自身が2時間ヴァージョンに以前から不満を持っていたとのことであるが、この作品は最初から完全版で公開されるべきだったと、両方を見てそして比較して思った。悲劇の場面と同じくらいユーモアにあふれたシーンが追加されているが、どれ一つかけても伝わらないはずである。ベティが狂気に冒されていく様を、インテグラルでは原作に忠実に再現している。実はこの映画に関しては、私はこれ以上何も語りたくはないのです。なぜならこれは、私にとって最も個人的であり最も大切な映画だから。7年前でなくて、今24歳の私がこの映画に出逢えてよかった。インテグラルヴァージョンと最初に出逢えてよかった。そう思っている。他人がどう解釈して結構。これはまさに私が描きたいブルーの世界、そのものなのです。
この二つの愛のサンプル(注:ここでは『ダメージ(ルイ・マル)』と『ベティ・ブルー』について書いていた)、様々な事件のあと、結末に映し出される男たちの顔は、いずれも穏やかに優しい。人間とは、決定的にダメージを受けないかぎり、このような表情は手に入れることが出来ないのだろう。だからこそ尊い。だからこんなにも愛しいのです。
『COMME CI,COMME CA. vol.10』より抜粋
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