ゴミ箱とパトロール隊
昨年の7月以来しばらくの間、パリが爆弾テロの脅威にさらされていたことを覚えているだろうか?事件以後パリ市内のすべてのゴミ箱はスティールで蓋をされ、ただのオブジェと化してしまった。つまり街からゴミ箱として機能するものがすっかり消えてしまったのだ。代わって登場したのが、警官や軍隊による3人組のパトロール隊だ。メトロ内はもちろん、街中の至る所で遭遇していた。銃を持っているし雰囲気は厳しいのだが、彼らはテロだけでなく他の軽犯罪防止にも一役買っていたようで、案外満足している市民も多かったように思う。不審物の発見でメトロが止まったり、というような事が3月初旬まで続いていたが、徐々に街の外側からゴミ箱の蓋は外され始め、最近では中心地でもとうとう蓋が外された。そしてそれに比例してパトロール隊は姿を消してしまった。パリの人たちはゴミ箱が目の前にあっても平気でゴミを道路に捨てるものだとばかり思っていたが、ゴミ箱の蓋が閉まっていた期間の街の汚さを見れば、いかに大勢の人がきちんとゴミをゴミ箱に捨てていたかがよく分かる。ゴミ箱の存在を改めて認識した数か月であった。