落書きの芸術
まずパリを初めて訪れた人の驚きとしてよく聞かれるのが、路上の糞と壁の落書き。路上の糞は誰の仕業か一目瞭然。落書きの過程は残念ながら私は未だ見たことがないのだが、どちらも闇に紛れて行なわれる良くないこと。なぜならどちらの後始末にも莫大な行政費用が、かかっているからだ。
落書きと一口に言ってもその内容はピンからキリまで。日本の暴走族が書くようなセンスのないものや、これでポップの仕事が出来そうな上手でカラフルなもの。それに文字に限らずきちんと型をとって吹き付けられた絵や本格的に描いた絵など・・・しばしば感心して見入ってしまうこともある。しかし残念なことに私の推薦する落書き作品は、メトロの中からしか、それも走っている最中しか見ることができない。
それは10号線のセーブル・バビロンとマビヨンの間にある、今は使われていない駅のホームなのだが、薄明りに照らしだされる落書きだらけのこのホームは、かなりの迫力。外の風景が楽しめるバスとは違い、いつも陰気なメトロだが、ここを通るときだけはいつもワクワクする。両側に見られるので、10号線ご利用の際は必ずチェックして下さい。